加熱式たばこ2022年10月1日から増税されました。また、主要なたばこの銘柄も同じタイミングで値上げされています。今回の増税は、2018年から計画的に実施されてきた一連のたばこ税増税の総仕上げにあたるものです。実は、過去40年でたばこ税の税率は15倍になっています。いったいこれまでどういう経緯でここまで増税されてきたのでしょうか。たばこ税の増税の歴史をみると、わが国の税制の問題点・課題が浮かび上がります。

たばこの税負担率は60%超

まず、現状、たばこ税がどのようになっているのか確認しましょう。

日本たばこ産業株式会社(JT)HP「たばこ税の仕組み」によると、1箱20本入り・580円(消費税込)の商品で、以下の通りです。

たばこ税(国):136.04円

・地方たばこ税都道府県市町村):152.44円

たばこ特別税(国):16.4円

消費税:52.72円

すべての税金を合わせると、価格に占める割合は61.7%となります。

たばこ税は過去40年間で15倍の増税!

次に、過去のたばこ税がどのように課税されてきたのか、振り返ってみましょう。

日本たばこ産業(JT)が毎年公表している「Fact Sheets」によると、紙巻たばこ1本あたりのたばこ税は、1985年には1.13円だったのが、2022年10月時点で15.244円と、実に約15倍になっています(【図表1】参照)。

このうち、2018年以降の税率の引き上げは、1本あたり1円(1箱20円)ずつ、3段階にわたって計画的に行われたものです。

さらに、加熱式たばこと葉巻たばこについては、紙たばこと別の分類がなされ、紙たばこよりも税率が軽く設定されていましたが、いずれも実態は紙巻たばこと変わらないとみなし、段階的に引き上げ、2022年10月をもって紙巻たばこと同じ税率が適用されるようになりました(【図表2】参照)。

たばこに重税をかけるのはなぜ許されるか?

このように、たばこ税の税率の高さは、他に類をみないものです。なぜこのような重税をかけることが正当化されるのでしょうか。

それには税法理論から理由があります。

財務省HPには、2018年以降のたばこ税増税の趣旨について以下の通り記載されています。

高齢化の進展による社会保障関係費の増加等もあり、引き続き国・地方で厳しい財政事情にあることを踏まえ、財政物資としてのたばこの基本的性格に鑑み、たばこ税の負担水準の見直し等を実施します。」

この文中に「財政物資」という言葉があります。財政物資とは、ごく嚙み砕いていえば、国の財源確保のため、どの程度税金をかけるかを柔軟に決めてよいものをさします。

その前提には「担税力」という考え方があります。財政物資は、担税力が高いものと言い換えることもできます。

担税力は、納税者が経済的に顕著な苦痛を感じることなく、かつ、社会的に許容できる範囲で、税金を負担することができることをさします。租税の公平性を確保するうえできわめて重要な指標です。

担税力は、以下の2つの要素からなります。

・納税者が経済的に顕著な苦痛を感じることがない

・社会的に許容できる

たとえば、所得税等で所得区分に応じて段階的に税率を高めていく「累進課税」の制度は、担税力の考え方に基づくものです。

上記2つの要素をたばこについてあてはめると、たばこ生活必需品ではなく、特殊な嗜好品です。吸わない人は一生吸うことはありませんし、やめようと思えばやめられます。禁煙治療には健康保険を適用してもらえます。したがって、たばこを吸う人に重税をかけても経済的に顕著な苦痛を感じることは想定しがたいといえます。

しかも、がん、心筋梗塞、脳卒中等の数々の病気のリスクを高めるうえ、受動喫煙等の問題もあります。したがって、たばこに重税をかけることは、喫煙の抑止につながり弊害防止に役立ち、医療費の抑制にもつながるので、社会的に許容できるものです。

実際に、財務省の資料によると、たばこ税の税収の額は、1985年に1.75兆円だったのが2020年は1.9兆円と、税金が15倍になってもほぼ横ばいです。これは、たばこ税の増税とともにたばこの販売量が減少したこと、すなわち、喫煙の抑止に効果があったことを示しています。

以上のことからすれば、たばこ税の過去の増税の経緯は、税法理論にてらして許容できるものといえます。

わが国の税制は「租税の公平性」「担税力」を踏まえているか?

上述したように、税制は、担税力を考慮した公平なものでなければなりません。ひるがえって、たばこ税以外の根幹的な税の分野では、その考え方がきちんと貫かれているでしょうか。

税制は、ともすれば、「取りやすいところから取る」という方向へ傾きがちです。たとえば、サラリーマンの給与所得の「源泉徴収」も、消費税の増税も、その発想が多少なりとも含まれていることは否定できません。

いずれも昔から、租税の公平性の点で疑問があるとして議論になってきたものです。

本記事で取り上げたたばこ税の増税についても完全にその発想がゼロとは断言できないでしょう。

また、最近でも、国税庁サラリーマンの副業について、年間売上300万円以下は原則として雑所得と扱う方針を打ち出し、物議を醸しています。

もちろん、税制を組み立てるうえで、いわゆる「取りっぱぐれ」「租税回避」を防ぐということも重要です。しかし、それを考慮するのは本来、あくまでもテクニカルな面にとどめるべきです。重視すべきは「租税の公平性」「担税力」です。

私たちは、増税、税制改正が行われるごとに、「担税力」「租税の公平性」という考え方がきちんと踏まえられているか、「取りやすいところから取る」といった安易な考え方に陥っていないか、チェックしていく必要があります。

(※画像はイメージです/PIXTA)

(出典 news.nicovideo.jp)

<このニュースへのネットの反応>

総合病院の呼吸器内科に「在宅酸素になったら絶対禁煙です」ってでかでかと書かれてるのを見るとたばこ代と一緒に将来的な酸素代を払ってると思っといたほうがいいきがしてる

高い税金掛けてもヤニカスが掛けてる迷惑が相殺されてるわけじゃないんでヤニカス視点から弾き出される公平性とやらに共感してくれる人は少ないと思います

購入の度に納得している点ではマシ。記事にもあるけど、他人事ながら副業300万の方が酷いと思う。多少は救済のような申請もあるらしいが。

タバコってだけで脊髄反射で批判するニコニコニュースのコメントでは公平性について議論できんだろうね。

言いがかり税

タバコという嫌われ者だから愛煙家ですら諦めてるけど普通に考えれば異常だよな。

うむ、税率を上げるとかいう姑息なことをせず素直に禁止すべき

煙草へのヘイト以前に、保険料で負担になってるから税で回収してるって話じゃ無かった?

日に30本前後は吸うヘビースモーカーな俺からして、別にたばこ税が悪いとは全く思わんよ。「特殊な嗜好品」の自認はある。日本の価格はまだマシなほうじゃなかったかな?(海外は販売価格縛りが無いせいもあるが) 「人よりたくさん税金払ってんぞ!」てのが声高に云える負け惜しみだ。

確か1箱のうち98%が税金だった気がするタバコ

海外から見ればまだまだ安いし、まだまだいける。嫌煙家も納税頑張ってるね、と思ってるから多少は我慢出来る。

煙草に関しては日本だけじゃないから諦めろ

この調子で酒も上げてまえ。サケカスは迷惑しかかけないし大嫌い

煙草税収がほぼ横ばいなのは今だけでしょ?後20年もしない内に一気に落ち込むよ。海外の煙草の値段の方が高いとかほざいている奴!日本の煙草税は医療に流れているのを知っているでしょ?脳の足りない政治家が、欧州を真似ただけのお花畑の法案だよ。

小さい頃に親戚のおじさんに「タバコ買ってきてお釣りでジュース買って良いよ」と500円玉渡されたあの頃が懐かしい。今じゃ500円で買えないし。未成年は売ってもらえないし。

みんな奴隷気質だなwwwそんなに増税して欲しいんか?あらゆる事象の増税は害悪でしかないぞ

日本では値上げしたものは下がらない法則がある。タバコに限らない。今すでに色々値上げされまくっている。タバコの次は酒か?どんどん値上げしていいぞ、覚悟はきまった。みんなで首絞めあって生きていこうぜ日本人。

路上やベランダに蠢くヤニカスを駆逐してくれるなら、減税でいい。やれるもんならね…

日本の煙草税はまだまだ低い、今の倍にしてもいい。あと森林破壊の根源である新聞も今の10倍に課税すべき。

通貨発行権のある国が増税するのは税収ではなく需要引き締めが目的だよ。煙草は害しかない嗜好品だけど依存性があるから規制すると地下に潜るので増税して消極的にやめさせようとしてる。

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